「松が大好きなんですよ。本当に格好いい。荒々しい木の肌で、手入れすると一番美しく見えるんです」。目を輝かせて語るのは、庭師の鈴木健太さんだ。生まれも育ちも鎌倉。鎌倉っ子らしく、サーフィンやスケボー、釣りを楽しんだが、20歳で庭師の道へ。「子どものころから、木登りが得意だったので」と冗談めかしてその理由を語るが、実家の周囲に木々が多かったことで、自然と「緑」が好きになっていった。「日本の伝統的な庭造りを学んでいくうちに、どんどん楽しくなっていきました」。今ではこの道25年の熟練の庭師だ。鈴木さんに師事する4人の若者とともに、市内30軒以上の庭を任されている。「鎌倉の庭の魅力は、何といっても松。昔から自生している松を庭木にしているお宅も多い。松の剪定はとても難しいのですが、鎌倉の庭師の技術は全国に名高く、京都からわざわざ修行に来る職人もいるほどです」と、胸を張る。実は鈴木さんは庭師のほかに、盆栽師や海の家のオーナーとしての顔も持つ。「好きなことはすぐにやってしまう。でも、どれもずっとやり続けています」。いずれのキャリアも20年以上。海の家では、この夏から材木座の組合長を託されている。そんな鈴木さんの今の目標は、次世代に庭師の技術を継承すること。「年々、職人は減っています。若者達が地元で働けるような環境をつくっていきたいと思っています」。鈴木さんの思いは、これからも鎌倉の松とともに受け継がれていく。
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