あたたかな灯りが織りなす幻想的な世界。時が経つのを忘れて光の造形美にいやされる……。ひょうたんに開けた無数の穴から、内側の光源が漏れて陰影のアートを空間に生み出す。渡辺誠さんが作る「ひょうたんランプ」だ。渡辺さんは、25年前、スケートボード好きが高じて、埼玉から本場の鵠沼に移住。同じく東京から移り住んだスケーターの絵理さんと結婚し、今は二人の娘とともに辻堂に暮らす。ひょうたんランプと出合ったのは4年前、ビーチクリーンをした海帰り。「何だ、これは!」。軒先に飾ってあったひょうたんランプに衝撃を受け、スマホで検索。その足で店へ行き、素のひょうたんを購入した。見よう見まねでランプを作ってみると、「おっ、キレイ!」と出来栄えに大満足。試行錯誤を重ねては周りの友人にプレゼントしていたが、「購入したい」というファンが現れた。仲間の口コミで広がり、今では注文から数ヶ月待ちの人気に。「ひょうたんは同じものが一つもない。『この子に合うランプはこんなイメージかな』と想像するのが楽しい」と渡辺さん。いつの間にか、絵理さんも「ジワジワと引き込まれて」手がけるように。「自分よりも人気ですよ」と言う渡辺さんに、はにかむ絵理さん。「自由な空気がすごく好き」。デザインの源は湘南の自然と街。「見上げる雲、通り抜ける風」から、今日も「光」を生み出す。
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